今回は、闇金の取り立てから本当に逃げることができるのか?を解説していきます。

闇金からの借金がある人の中には、闇金と知らずに借りてしまった、すぐに返せば大丈夫だろうと借りてしまったという人も多いのではないかと思います。

しかし、一度闇金に接触してしまうと、その関係を断ち切ることは容易ではありません。

毎日毎日続く闇金からの脅しや嫌がらせの電話、到底返せるはずのない利息、これが永遠に続くという恐怖感に、精神的に追い詰められてしまう人も多いです。

誰もが、なんとかしてこの地獄から抜け出したい、闇金の取り立てから逃げてしまいたいと考えることでしょう。

果たして、本当に闇金から逃げてしまうことはできるのでしょうか?

闇金から逃げるために「夜逃げ」はアリ?

「闇金から逃げる」といってパッと頭に浮かぶことは、「夜逃げ」でしょう。

誰にも告げずにこっそり引っ越してしまい、電話番号も変えてしまえば、闇金も居場所がわからず取立てのしようがないだろうと思いますよね。

しかし、夜逃げはあまり安全な方法とは言えません。というより、大変デメリットが大きくお勧めできる方法ではないというべきでしょう。

住民票を元に追跡される

まず、引っ越しをする時、役所に転出届を出す必要があります。

新しい引っ越し先でも、転入届を出さなければいけません。

転出・転入の情報は、住民票に記載されるのですが、実はこの住民票により闇金が逃げた債務者を追跡することが可能となってしまうのです。

そのため、闇金から逃れるために夜逃げする人は、住民票を動かすことができずにこっそりと引っ越すということになります。

住民票を動かさずに引っ越すことの弊害

さてここで、「住民票を動かさずに引っ越す」ことの何が問題なのか?と思う人も多いでしょう。

住民票を移さなくても新しい土地でひっそりと暮らすことは可能かもしれません。

しかし、本来転居した場合には、住民票を移動することが義務付けられています。

大学生や単身赴任など生活の拠点が移動しない場合や、新住所に住む期間が1年未満とわかっている場合などには、その必要はないものの、原則として、移動から14日以内に届け出を行うよう定められており、これに従わなければ5万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

それでも、この闇金問題など特別な事情で住民票を動かさずに引っ越した場合、住民票がその土地にないことで、以下のような様々な不便が生じます。

  • ①新住所での選挙権がない
  • ②新住所で国民健康保険に加入できない
  • ③住民票はもちろん、印鑑登録など各種証明書類が旧住所となる
  • ④就職して税金が給与から天引きされている場合、誤った自治体へ税金が納付されることになり、混乱がおきる。
  • ⑤確定申告をする場合は、旧住所管轄の税務署で行わなければならない
  • ⑥運転免許証の書き換えが旧住所管轄の警察でないとできない

このほかにも、就職するとき、子供が学校に入学するときなど、自分や家族の居住地の証明として、様々な場面で住民票の提出を求められますので、住民票を移動させずに生活することの弊害は大きいといえます。

長い月日がたっても闇金は待っている

闇金から逃れるために夜逃げで飛ぶことを選択しても、住民票を移動させずに何か月、何年かの間ひっそりとした生活を続けたあと、ある程度の時間がたったところで住民票を移す人もいます。ずいぶん長い間隠れていたからもう大丈夫だろうというわけです。

しかし、そういった債務者の行動をよく見通し、そのタイミングをしつこく待ち続けているのが闇金です。

もしもそこから居場所がわかってしまえば、再びあの地獄のような取立てに悩まされるばかりか、長い間積もりに積もった利息がどれだけ膨れ上がっているのか、考えただけでも恐ろしいものです。

仮に、闇金に見つかることなく逃げ切れたとしても、いつ闇金が取立てに押しかけてくるのかわからないという恐怖感を常に感じながら生きていくことになります。

このように、闇金から逃げるために「夜逃げ」という手段を選択しても、根本的な解決にはならないのです。

夜逃げをした後の周囲への迷惑

闇金は、本人からの返済が遅れると、家族、親戚、会社までにも嫌がらせをしてくることはご承知のとおりです。

闇金に家族や親せき、会社などの連絡先を知られていなければよいのですが、たいていの闇金は周到にそれらの情報を確保しています。

夜逃げをしなくても返済が遅れただけで周囲を巻き込んでくるのですから、夜逃げをしたとなるとその影響は多大なものでしょう。家族、親戚、職場、近所の人たちへ大きな迷惑をかけることになることになりますので、よく考える必要があります。

本当に闇金から逃れるためにはどうするべきか?

闇金から単に逃げようと思っても、なかなか逃げ切れるものではありません。

夜逃げをして、当面の間は闇金からの取り立て電話が来なくなるかもしれませんが、ビクビクして生活することには変わりがなく、さらに様々な場面で複雑な事情を隠すような生活を送らなければなりません。

闇金から本当に逃れるためには、その闇金問題を根本的に解決しなければならないのです。

そもそも、闇金の営業自体は違法であり、不法な利息はもちろん借りた元本さえも返済する義務はありません。ですから、こそこそと逃げ隠れする必要はないといえばないのですが、闇金の悪質な取立てに恐怖を感じ誰もが逃げたいと思ってしまうのです。

この悪質な闇金との関係をきれいさっぱり断ち切るためには、法律を盾に立ち向かうしかありません。

そのためには、弁護士や司法書士など法律の専門家に相談する必要があります。

闇金事情に詳しい法律の専門家が介入することで、常識の通用しない闇金も逮捕されることをおそれてあっさりと引き下がるパターンが多いです。

一旦法律の専門家が介入した債務者を追いかけまわしても儲けが出ないこともわかっており、さっさと手を引いて新しいターゲットを探した方が割に合うと考えているからです。

闇金から本気で逃げようと思ったときには一歩立ち止まって考え、闇金事情に詳しい弁護士・司法書士事務所のドアを叩いてみることをお勧めします。

相談無料の事務所もありますので、とりあえず相談するだけでも今後の方向性が見えてくる可能性があります。

【参考】ヤミ金を扱う弁護士・司法書士の一覧

また、闇金被害を警察に届け出るということも一つの手です。

録音した脅迫電話内容、契約書、振込履歴など、証拠となるものをできるだけ集めて、被害届を出しましょう。

これにより、警察から闇金へ、これ以上の取り立てを止めるよう警告電話をしてくれることがあります。

警告電話だけで全く縁が切れるかどうかはその闇金次第ですが、試してみる価値はあるでしょう。

なんだかんだ言っても闇金としては逮捕されることが一番怖いので、この警告電話も有効な場合があります。

また、警察への相談はお金がかからないこともメリットです。

【参考】闇金問題は警察と弁護士・司法書士のどこに相談すべき?

【参考】警察に闇金の相談をすれば解決する?民事不介入で動かない?

まとめ

闇金の取り立てから逃れるために、「夜逃げ」という方法を考える人も多いのですが、夜逃げをすることには、デメリットがたくさんあり、大変危険な考えです。

闇金から単純に逃げようとすることは、根本的な解決にはなりません。

闇金から本当に逃れたいと思った時には、心を落ち着けて考え、法律の専門家、警察などに相談することをお勧めします。

闇金は、なんといっても逮捕されることを恐れています。

弁護士、司法書士などが介入することで、あっさり手を引く闇金が多いです。警察からの警告電話によっても、取立てが止まる可能性があります。

闇金から自力で逃げることは残念ながら大変難しいので、専門家の力を借りることをお勧めします。

当サイトでは、ヤミ金問題を扱っている弁護士や司法書士を地域別にまとめたページも公開していますので参考にしてみてください。

【参考】ヤミ金を扱う弁護士・司法書士の一覧