今回は、闇金犯罪で逮捕された場合の罪の重さについて解説していきます。
闇金は、その営業自体が悪質な違法行為です。
増え続ける闇金被害が社会問題となった今、ヤミ金融対策法が成立され、闇金に対する規制と罰則が強化されました。
果たしてヤミ金融対策法とはどんなものなのでしょうか?そして闇金犯罪で逮捕された時にはどのような罰則を受けるのでしょうか?
闇金対策法
増え続ける闇金被害が深刻な社会問題となっており、国をあげて闇金対策に乗り出した結果としてヤミ金融対策法が成立されました。
ヤミ金融対策法の中で、闇金営業に対し厳しい罰則が定められています。
これにより闇金営業が割に合わないという意識を闇金業界に広く植え付けることが期待され、悪徳業者の排除を狙うものです。
ヤミ金融対策法の主な内容を見ていきましょう。
貸金業登録制度の強化
- ①登録時に運転免許証・旅券などの写しを提出させ本人確認をする
- ②暴力団関係者は登録できない
- ③財産的基礎を有しない者は登録できない(法人:500万円以上、個人:300万円以上の財産が必用)
- ④登録免許税、登録手数料の引き上げ
財務局登録業者 | 登録免許税 9万円⇒15万円 |
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財務局登録業者 | 登録更新手数料 4.3万円⇒15万円 |
都道府県知事登録業者 | 登録手数料・登録更新手数料 標準手数料政令で15万円と規定 |
無登録業者に対する規制強化
- ①無登録業者の広告・勧誘を禁止し、罰則を新設⇒100万円以下の罰金
- ②白紙委任状の取得制限、取立て行為規制の適用
広告・加入行為に対する規制強化
- ①携帯電話番号を用いた広告禁止
- ②誇大広告、虚偽広告の禁止
- ③返済能力のない者の勧誘表示の禁止
取立行為に対する規制強化
- ①勤務先など居宅以外への電話や訪問、正当な理由のない夜間の取立て禁止
- ②債務者・保証人以外の第三者への取立て禁止等
- ③暴力団員の関与や暴力団員への債権譲渡禁止
- ④これらの行為に対する罰則を引き上げ⇒2年以下の懲役、3百万円以下の罰金(無登録業者の行為も罰則の対象)
貸金業務取扱主任者制度の創設
貸金業を営む時には、営業所ごとに貸金業取扱主任者を置き、従業員に対して法令順守の助言指導を行わなければならない。
また、貸金業務取扱主任者は、その業務に関する研修を3年ごとに受けなければならない。
高金利を定めた貸付契約の無効
年109.5%を超える利息の貸付契約は無効。この場合、利息の返済義務はなくなる。
罰則の大幅な引き上げ
①出資法で定められた上限金利(年20%)を超える高金利での貸付、無登録営業に対する罰則の強化
高金利違反 | 5年以下の懲役もしくは1千万円(法人の場合は3千万円)以下の罰金または併科 |
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無登録営業 | 5年以下の懲役もしくは1千万円(法人の場合は1億円)以下の罰金または併科 |
闇金は厳しく処罰される
上記のヤミ金融対策法により、闇金営業で逮捕された場合には、厳しい刑罰が科せられます。
以下に闇金に対する刑罰をまとめました。
対象行為 | 罰則 |
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無登録業者の広告・勧誘 | 100万円以下の罰金 |
無登録営業 | 5年以下の懲役もしくは1千万円(法人の場合は1億円)以下の罰金または併科 |
高金利違反(年20%を超える金利) | 5年以下の懲役もしくは1千万円(法人の場合は3千万円)以下の罰金または併科 |
夜間、居宅以外での取立て、第三者への請求など不当な取立て行為 | 2年以下の懲役、3百万円以下の罰金(無登録業者の行為も罰則の対象) |
これを見てもわかるように、闇金犯罪に対する刑罰は大変重いものとなっています。
無登録営業に対する罰則
現在世の中にはびこっている闇金の多くが無登録営業といわれています。
正式に貸金業を営業するためには、都道府県への登録が必用です。そのためには事務所を構え固定電話を引いた上で届けることになります。
闇金は、自分たちの実態を掴まれることを恐れているためこの届けを出さず、携帯電話だけで営業しているのです。
しかしこれは立派な犯罪として罪を問われます。
もしも摘発されれば、5年以下の懲役もしくは1千万円の罰金または併科という重い刑罰が科せられます。
高金利違反に対する罰則
闇金が貸し付ける金利は、一般的にトイチ、トサン、トゴなどと呼ばれ、常識では考えられないような高い金利です。
トイチとは10日で1割、トサンは10日で3割、トゴは10日で5割です。
貸金業者に対する出資法での金利上限は年利20%、利息制限法では貸し付け総額に応じて年利15%~20%となっていますが、この闇金の金利をパーセンテージで表すとどうなるか、比べてみましょう。
- 出資法・利息制限法の上限:20%
- トイチ・・・・・・・・・:365%
- トゴ・・・・・・・・・・:1095%
- トサン・・・・・・・・・:1825%
このように、闇金の金利は、法律完全無視の信じられないような高金利ということがわかります。
このような高金利での貸付けは大変悪質と考えられ、5年以下の懲役もしくは1千万円(法人の場合3千万円)の罰金または併科が科せられます。
不当な取立て行為に対する罰則
闇金被害のもう一つの大きな問題として、執拗な取立てや嫌がらせがあります。
暴力的・脅迫的取立て、夜中の執拗な取立て、勤務先への嫌がらせの電話、家族や親せきなど第三者への請求などにより、精神的に追い詰められてしまうケースも少なくありません。
これらの社会通念上不適切と考えられる取立て行為は法律違反と定められ、2年以下の懲役もしくは3百万円以下の罰金が科せられます。
闇金の悪質性には裁判官も検察官も厳しい目で対応
闇金犯罪で摘発されると裁判にかけられて判決が言い渡されます。
闇金行為は、経済的弱者から搾れるだけ搾り取るという悪質極まりない犯罪であり、検察官はもちろん裁判官も厳しい目をもって判決を下すといわれています。
また闇金犯罪を犯しているような者は、逮捕されても反省の色がみられないことも多く、実刑判決を言い渡される判例が多いようです。
闇金撲滅のためには、闇金業者やこれから参入しようと企ている者たちに、割が合わない商売だということを浸透させる必要があります。そのためにも、この厳しい罰則の制定と実行が必用不可欠となるでしょう。
もちろん、借り手が無くなることも最重要ですので、闇金に関する情報を共有し、それぞれが「絶対に借りない」という姿勢を貫くことが必用です。
借金問題で苦しいとき、向かう場所は闇金ではなく弁護士や司法書士です。
闇金からお金を借りることを考えるまえに、今ある借金を整理し一からやり直すために行動を起こすことをお勧めします。
まとめ
闇金犯罪で逮捕された時の罪の重さについて解説してきました。
闇金営業は、経済的弱者を経済的、精神的に痛めつける悪質極まりない行為です。
近年闇金被害者の増加が社会的問題ともなったことから、ヤミ金融対策法が成立されました。
これにより、闇金の取り締まり強化とともに厳しい罰則が定められています。
闇金問題は、その悪質性から検察官はもちろん裁判官も大変厳しい目で取り扱い、実刑判決が下されることが多いといわれています。
この厳しい懲役刑や多額の罰金により、闇金業界の中でこの商売が割に合わないという意識を広める必要があります。
そして何より、借り手がいなくなることが闇金撲滅の第一歩ですので、それぞれが「闇金からは絶対に借りない」という強い意志を持つことが重要です。
借金問題で困ったとき、向かうべきところは闇金ではありません。弁護士や司法書士に相談し、債務整理を行うことで一からやり直す決心をしましょう。