今回は、闇金と弁護士や司法書士がグルということが本当にあるのか、その対策も合わせて解説していきます。

「藁(わら)にもすがる思いで依頼した弁護士が闇金とグルだった」というのはテレビドラマなどでありがちな話ですね。

にわかに信じがたいものですが、このような悪徳弁護士・司法書士はごくわずかですが実在します。

闇金などと関係する業者から多重債務者である依頼人の斡旋を受け、高額な着手金などを請求するのです。

このような被害に遭わないために、弁護士・司法書士に依頼する時には、厳しい目と冷静な判断力が必要です。

資格を持たない者が行う非弁行為とは?

債務整理を含む全ての法律活動は、資格のある弁護士のみが行うことができます。

また、一部の債務整理に関しては認定司法書士も行うことができます。

しかし当然のことながら、正式な資格のない人が、その活動をすることは禁じられており、法律事務所の看板を挙げることも禁止です。

正式資格がない人が、報酬を得る目的でこれらの行為を行うことを「非弁行為」といいます。

非弁提携弁護士・司法書士とは?

正式な資格のない人が法律活動を行うことは違法で、「非弁行為」といいますが、正式な資格を持つ弁護士・司法書士が、この非弁行為を行う者から事件を斡旋してもらうことは法律で禁じられています。

同時に、弁護士の名前を貸したり、利用させることも違法です。

しかし、弁護士法違反であることを承知で、非弁行為を行う違法業者に手を貸す弁護士・司法書士が存在します。

これらの弁護士・司法書士を、「非弁提携弁護士・司法書士」と呼びます。

非弁行為を行う団体、非弁提携弁護士の手口

非弁提携弁護士・司法書士は、不法な非弁行為を行う業者やNPO法人などから多重債務者の斡旋を受け、その報酬としてこれらの業者に紹介料を支払います。

紹介された債務者に対してはまともな対応が行わず、高額な着手金や手数料などを請求し、不当な利益を得るというものです。

ここで、非弁提携弁護士による手口の特徴をみていきましょう。

広告やビラで宣伝・集客

非弁提携弁護士・司法書士は、公式ホームページを作ることが少なく、あっても本人の顔写真やで個人情報を公開することは少ないです。

そのため、集客には広告やビラを使った宣伝が主となります。

また、闇金業者から出回っている多重債務者リストを手に入れ、個別に電話で営業することも多いです。

弁護士という響きは大変に力のあるもので、誰でも信用してしまいがちですが、通常弁護士というのは、電話で営業をすることはありません。

弁護士から営業電話が来たら一呼吸おき、よく調べてみるとよいでしょう。

依頼者との直接面談を嫌う

通常、債務整理や闇金問題の相談では、弁護士や司法書士が直接面談をします。

しかし、非弁提携弁護士・司法書士の場合は、事務員の対応だけで済まされることがほとんどです。

相談の段階で、弁護士・司法書士と直接話ができない時は疑ってもよいでしょう。

着手金や手数料が高額

非弁提携弁護士・司法書士に依頼した場合、「着手金や手数料が相場よりもかなり高い」という特徴があります。

非弁提携弁護士・司法書士は、初めからまともに闇金問題を解決しようなどとは思っていません。そのため、成功報酬は利益として考えてはいないでしょう。

しかし、不法業者に紹介料も払っていることもありますし、その利益を最大化するためには、高額な着手金やなにかしらの手数料と理屈づけて、多重債務者から巻き上げようとしているのです。

中には、着手金や手数料などを支払ったとたん連絡がとれなくなったり、事務所が閉鎖されたりすることもあります。

着手金を受け取った後交渉したふりをし、「交渉が失敗した」などと言って手続きを終了しようとするなど、その手口は悪質です。

闇金に有利な和解を勧める

提携弁護士・司法書士に借金整理の依頼をしても、裏で闇金とつながっていれば、闇金有利に事を進めることは明らかです。

正当な弁護士や司法書士であれば、債務者本人の状況をよく聞き、それに合わせた対応を行うのですが、自分と闇金の利益ばかりを考え一方的に和解条件を押し付けるのが、非弁提携弁護士・司法書士です。

整理屋の影に非弁提携弁護士・司法書士

整理屋とは、多重債務者の弱みに付け込み、弁護士の名前を使って不当な利益を得る業者です。

闇金など多重債務に苦しむ人に近づき、借金を整理できる弁護士を紹介しましょうか?などと言葉巧みに持ち掛けてきます。

この時に紹介される弁護士や司法書士が「非弁提携弁護士・司法書士」です。

非弁提携弁護士・司法書士は、依頼を受けるとともにとりえあえずは受任通知を債権者へ送ります。

これにより、取立ては一旦収まりますので債務者はすっかり信用してしまうというわけです。

しかしこの後、整理屋がどうするかというと、「借金整理のための費用・返済費用」などと理屈をつけ、毎月定額の支払いを要求してきます。これが整理屋の本来の目的なのです。

依頼人が怪しく思って送金をやめると、非弁提携弁護士は「辞任」してしまうというわけです。

また、非弁提携弁護士・司法書士も、もともと真剣に借金問題、闇金問題を整理する気はなく、事件はそのまま放置されてしまいます。

そして適当な時が来れば、辞任して終わりです。

そのほかにも、非弁提携弁護士・司法書士の名前や事務所名を借り、自分は事務所の事務長などという肩書を偽造して、債務者に近づいてくる整理屋もいます。

「債権者への返済金を代理で送金します」などとだまして整理屋の口座へ送金させ、受け取ったお金の中から、法外な手数料を自分の懐に入れてしまうという手口です。

整理屋は、自分だけでは仕事にならず、必ず非弁提携弁護士・司法書士の協力・提携が必用になります。

弱者を守るべき弁護士や司法書士が、弱者を痛めつける整理屋の後押しをするという、信じがたく大変残念な事実があります。

なぜ、非弁提携弁護士・司法書士が存在してしまうのか?

弁護士・司法書士になるためには、大変難しい国家試験に合格することが必用です。それは、弁護士・司法書士になるという大志、そして人並み外れた努力の結果にほかなりません。

それなのに、どうして今、非弁提携弁護士・司法書士の問題が増えてしまっているのでしょうか。

近年、弁護士の数は急増しています。

エリートのイメージが強い弁護士ではありますが、正直仕事が入ってこなければ、事務所経営、生活が苦しくなることは否めません。

仕事がとれず生活が困窮してしまったという弁護士・司法書士も中にはおり、仕事がとれるのなら法律に違反してでも取りたいと考えます。

一方、闇金がらみの業者やNPO法人などは、違法であるか否かよりも、高額な利益を得ることを優先に考えます。

悲しいかな、これら両者のニーズが一致していまい、非弁提携の問題が広がる原因となってしまっているようです。

闇金とグルである弁護士・司法書士の見分け方

上記3のように、悪質で巧妙な手口に引っかからないよう、弁護士に依頼するときには冷静な判断ができるようにしたいものです。

非弁提携弁護士・司法書士を見分けるために、いくつかポイントを挙げてみましょう。

  • ①事務所に問い合わせをした時、相談に訪れた時に、事務員が対応するばかりで、なかなか弁護士に合うことができない。
  • ②在籍している弁護士・司法書士が1名のみで、ホームページの開設がない。またはホームページが開設されていても、詳しい個人情報、顔写真が掲載されていない。
  • ③闇金から紹介された弁護士、またはNPO法人など公的機関以外から紹介された弁護士。
  • ④着手料が相場よりも高額。
  • ⑤委任契約書を作成しない。
  • ⑥何度連絡をしても通じず、なかなか連絡がとれない。

こういった様子が見られたり、何かおかしいと感じた時には、すぐに他の弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。

万が一、非弁提携弁護士により被害にあったら

本来はトラブルを解決してくれるはずの弁護士・司法書士。万が一上記のような被害にあってしまったら、一体どこに相談すればよいのでしょうか?

このような時には、弁護士会に相談することができます。

弁護士に不当な扱いを受けた、契約内容と異なる高額な報酬を請求されたなど、弁護士活動に対する苦情の受付のために、全国の各弁護士会に「市民窓口」が設けられています。

相談、話合いで解決しない時には、「紛議調停」という制度を利用することもできます。全国の各弁護士会に設けられている紛議調停委員会に、申立てることになります。

まとめ

闇金問題に困った時には、弁護士や司法書士に相談することが一つの解決策です。

しかし、弁護士や司法書士の中には、裏で闇金と手を組んでいる場合があるので、冷静かつ厳しい目で人選することが必用です。

弁護士や司法書士以外の人が法律活動を行うことは「非弁活動」と呼ばれ、違法です。そして、弁護士や司法書士がこういった人たちから依頼者の斡旋を受けることも禁止されています。

しかし、近年の弁護士数の増加もあり、仕事が取れずに経営や生活に支障をきたして困っている弁護士・司法書士が出てきているようです。中には、紹介料を払ってでも仕事をとりたいと考える人もおり、法律を犯してでも儲けたいという業者と手を組んでしまうのです。

このように、非弁活動を行う業者と協力・提携する弁護士・司法書士を「非弁提携弁護士・司法書士」と呼びます。

非弁提携弁護士・司法書士は、闇金などの違法業者やNPO法人などから依頼人の斡旋をうけ、その報酬として紹介料を支払います。

その後、依頼人からは高額な着手料や手数料などを搾取します。その上、事件はまともに取り扱わずに放置したり、着手料や手数料が支払われたとたん、連絡が途絶えたりするのです。

また、整理屋の経営の影にも非弁提携弁護士・司法書士がおり、名前を貸すことで儲けているといわれています。

このような悪徳弁護士・司法書士に間違っても依頼しないよう、冷静な判断力を持ち、少しでもおかしいと思ったら、他の弁護士や司法書士に依頼するなどの対策をとりましょう。

万が一、非弁提携弁護士・司法書士に依頼してしまったら、全国の各弁護士会に設けられている「市民窓口」で相談するとよいでしょう。

なお、当サイトでは、ヤミ金問題を扱っている弁護士や司法書士を地域別にまとめたページも公開していますので参考にしてみてください。

【参考】ヤミ金を扱う弁護士・司法書士の一覧