闇金の執拗な取立てや嫌がらせは、じわじわと人を追い詰めていくものです。精神的にボロボロになってしまう前に、なんとか解決しなければなりません。

しかし残念ながら、闇金問題を自力で解決することはほぼ不可能に近いといえます。

闇金解決の方法として考えられることは、「弁護士や司法書士」または「警察」です。

それでは一体どちらに相談するのが得策なのか?ということが、多くの人が持つ疑問でしょう。

今回は、闇金問題は警察か?弁護士や司法書士か?どちらに相談するべきなのか、それぞれの対応の仕方も合わせて解説していきたいと思います。

弁護士と認定司法書士

弁護士と法務省から認定された認定司法書士は、闇金と話をし、和解交渉を行うことができます。

和解の方法はいくつかありますが、依頼人の意向や状況にあった方法を考えて対応しています。

弁護士と司法書士の対応の仕方には、ほとんど差はありませんが、認定司法書士の場合は、一社からの借入額が140万円以下という制限があります。

弁護士や認定司法書士の対応の仕方

基本的には、「法律家が介入した事実」を知らせることで、これ以上の取立ては危ない、ここが引き際だと思わせることです。

弁護士や司法書士による対応の流れは以下です。

  • ①正式依頼を受けると、闇金へ受任したことを通知する
  • ②ここで取立てや嫌がらせが止まらなければ、直接会いに行って交渉する
  • ③それでも状況が変わらなければ、銀行口座の凍結と、携帯電話の使用停止手続きをとる
  • ④同時に警察へ連絡し、警察と連携して解決を図る

まず、闇金問題の依頼を受けると、電話で受任したことを通知します。同時にこれ以上の取立てや嫌がらせを止めるように要求します。

本来受任通知は、書面で通知するものです。

しかし、闇金の場合は所在地やFAX番号を明らかにすることはまずなく、闇金に慣れている弁護士や認定司法書士であればそれを承知していますので、電話で済ますことが多いです。

逆に、闇金について知識がない弁護士や認定司法書士は、形式にこだわりどうしても聞き出そうとする傾向にあります。

闇金側は、その対応の仕方を見て、「相手が闇金初心者」であるかどうかの判断材料ともしているようです。

多くのケース、特に前者のように闇金に慣れている弁護士や司法書士が介入した場合、闇金にとっては「厄介な状況」となる可能性が高いです。

そのため、将来的なことを考えてこの時点であっさりと引き下がる闇金が多いです。

しかし、中にはしつこく粘る闇金もあります。また慣れない弁護士や認定司法書士であると甘く見られる場合もあります。

ここで取立てや嫌がらせが止まらない場合は、実際に会って交渉をします。

それでも状況が変わらなければ、即刻、闇金の銀行口座の凍結、携帯電話の使用停止の手続きを取ります。口座が凍結されればお金を引き出すことはできず、闇金は多額の損失を受ける可能性があります。

そして、数々の証拠をそろえて警察と連携して、闇金問題解決のために動いていきます。

弁護士や認定司法書士に依頼するメリット

①スピーディーに解決することができる

上記のように、力のある弁護士や司法書士であれば、電話一本で闇金が手を引くというケースがほとんどです。

闇金に追われている人は、今この時点で解決したいと切羽詰まっている場合がほとんどですので、このスピーディーな対応と解決は大きなメリットです。

②依頼者の意向にそった解決ができる

どのような解決策を望むかは、依頼者によって変わってきます。

一円も払いたくない、ゼロ和解をしたい、元金だけは返してもいい、徹底的に戦いたいなど、解決策にもある程度の幅があります。

そして、弁護士や司法書士に依頼した場合は、自分の希望する解決策で動いてもらうことも可能です。

③借り入れている全ての闇金を整理できる

多重債務として、何件もの闇金から借り入れていると、どこからいくら借りているかわからなくなってしまうことがあります。

そのような場合でも、弁護士や司法書士に依頼することで、支払い履歴や電話の通話履歴などから全てを把握してもらうことができます。

④アフターフォローがある場合も

弁護士や司法書士によっては、アフターフォローに対応してくれる場合もあります。

一旦は取立てが止まっても、時間をおいて再び接触してくる闇金がまれにあり、そのような時に相談できることは心強いことです。

弁護士や認定司法書に依頼するデメリット

①費用がかかる

なんといっても、大きなデメリットはその費用です。

闇金からお金を借りるような人にとって、正直なところ弁護士や司法書士に費用の支払いができるかどうかという不安があります。

一時的に見れば、闇金に払うお金よりも弁護士や司法書士に払う費用の方が高いというケースも少なくありません。

分割払いや後払いに対応してくれる事務所がある一方、受任後に支払わなければ辞任してしまうという事務所もあります。

②担当した弁護士や司法書士の力量に左右される

闇金対応は弁護士や司法書士にとっても厄介なものです。一般の常識や理屈が通らず、まともに交渉できる相手ではありません。

それゆえに、よりよい解決のためには弁護士や司法書士がどれだけ闇金について知識があるか?がカギとなります。

ですので、弁護士・司法書士であれば誰でもいいのではなく、闇金対策の経験が豊富な人を選ぶ必要があります。

【参考】ヤミ金を扱う弁護士・司法書士の一覧

警察

闇金に対する警察の対応は、弁護士や司法書士とは全く違っています。

闇金にこれ以上の取立てをやめるよう、電話での警告が一般的です。

警察は基本的に「民事不介入の原則」から、闇金を含む借金問題には基本的に介入することができません。

しかし、近年は闇金が深刻な社会問題となったため「ヤミ金融対策法」が成立され、取り締まりが強化されました。

「ヤミ金融対策法」の主なポイント

・貸金業登録制度の強化

・出資法の上限金利を超える高金利違反への罰則
  ⇒5年以下の懲役、1千万円(法人は3千万)以下の罰金

・無登録営業への罰則
  ⇒5年以下の懲役、1千万円(法人は1億円)以下の罰金

・執拗な取立て(夜間、自宅以外への電話、第三者への請求など)への罰則
  ⇒2年以下の懲役、3百万円以下の罰金

・年109.5%を超える利息での貸し付けを無効化

このヤミ金融対策法の強化により、警察が介入しやすくなったといえるでしょう。証拠が揃っていれば法律を犯している組織として闇金逮捕を念頭に動くこともできます。

警察の対応の仕方

政府の多重債務者対策本部により決定された「多重債務問題改善プログラム」の中に、警察の対応について以下のような記載があります。

4. ヤミ金の撲滅に向けた取締りの強化
〇被害相談を受けた監督当局・警察は、電話による警告等を積極的に行う。
(「多重債務問題改善プログラム」の概要より)

これを受けて、闇金にこれ以上取立てを行わないよう警告電話をかけるということが、一般的な警察の対応です。

ただ、警察では「闇金に追われて困っているのですがどうしたらよいでしょう・・・」という相談の仕方はあまり効果的でなく、具体的な対策をとって動いてくれない場合があります。

もともと個人の借金問題には介入しないスタンスであった警察です。他にも深刻な事件を多く抱えていることもあり、警官の闇金問題に対する意識の高さには、幅があるようです。

警察で確実に対応してもらうために、「闇金によって被害をうけているので、被害届を提出したい」と、はっきりした意思表示をするとよいでしょう。

被害届を出したからといって、すぐ捜査・逮捕とはいきませんが、被害届を出すことは、「逮捕してほしい」というニュアンスを含むようです。

これにより、まず第一歩として警告電話をかけるという流れに持っていきやすいです。

闇金業者としては、逮捕されることを一番恐れていますので、警察からの警告電話は効果的といえ、警告電話を受けただけで取立てをあきらめることが期待できます。

警察に相談するメリット

①費用がかからない

警察に相談するときには、費用は一切かかりません。

経済的に切羽詰まっている闇金被害者にとって、これは最大のメリットといえるでしょう。

②闇金は逮捕されることが恐い

闇金は逮捕されることを最も恐れています。警察からの警告電話を受けることで、「逮捕されてはまずい」と心理的にかなりのプレッシャーをかけることができます。

もしも闇金が警察官をなめきって突っぱねれば、警察はその威信をかけて実動に出る可能性があります。

闇金が恐いのはまさにここです。そのためあっさり手を引く可能性があります。

警察に相談するデメリット

①警官によって闇金対策に対する対応が様々

ヤミ金融対策法の強化により警察が介入しやすくなったとはいえ、闇金の数は膨大で、かつ、つかみどころのない闇金の実態捜査は容易ではありません。

警察が動くためには確たる証拠が必用ですが、ご存知の通り闇金も賢く、みすみす証拠を残すようなことはあまりしないのです。

警察は他にも重大な事件を多く抱えている上、そもそも民事不介入という立場でもあることから、闇金対策に積極的ではない警官も少なくないようです。

親切な警官であれば、好意的に取り扱い、進んで警告電話をかけてくれますが、人によっては好ましい対応をしてくれなかったり、被害届を出しても、そのまま放置されるというケースも考えられます。

②具体的な対策は警告電話のみ

暴力、脅迫、恐喝、器物破損などの現場を取り押さえたなど、確たる証拠が揃わない限り、警察が闇金逮捕に乗り出すことはまずありません。

具体的な対策としては、電話での警告のみです。その結果取立てがストップするかしないかは、闇金次第です。

また、払いすぎたお金を返してほしい等という交渉は一切できません。

【参考】警察に闇金の相談をすれば解決する?民事不介入で動かない?

「費用」が一番の問題

「弁護士や司法書士」と「警察」の対応、メリット、デメリットについてお話してきました。

それぞれアプローチの仕方は異なり、個人の状況、闇金の性質、対応した弁護士・司法書士や警官の経験や考え方などによってもその効果に影響がありそうです。

両者の明らかな違いとして言えることは、「費用」の問題ではないでしょうか。

弁護士や認定司法書士の依頼は費用がかかり、一方の警察はゼロです。

「全くお金をかけたくない」、「お金を払っても確実にアフターフォローまで対応してもらいたい」など、最後は「自分はどうしたいのか?」に尽きると思います。

いずれにしても、闇金問題で悩んでいる場合は、今すぐ何らかの対策をとらなくてはなりません。

自力での解決は難しいので、弁護士・司法書士なり、警察なり、一刻も早く相談に行くことをお勧めします。

まとめ

弁護士や司法書士、警察では、闇金への対応の仕方が全く違うことがわかりました。

どちらもメリット、デメリットがあり、一概にどちらに相談するのが得策と決めることは難しいところです。

正直なところ、担当してくれる弁護士・司法書士、警官の力量による部分もあり、闇金の出方にも差があると考えられます。

唯一明確な違いは、「その費用」です。一方は費用がかかる、一方は全くの無料という、大きな差があります。

安心料としてお金を払っても闇金に詳しい弁護士や司法書士に依頼するのか、全くお金はかけたくないから警察に相談するのか、このあたりが決め手となるのではないでしょうか。

また、まずは警察に相談してみて、それでも解決しなければ弁護士や司法書士に依頼するという順番も考えられます。

なお、当サイトでは、ヤミ金問題を扱っている弁護士や司法書士を地域別にまとめたページも公開していますので参考にしてみてください。

【参考】ヤミ金を扱う弁護士・司法書士の一覧