闇金からの借金問題は自力で解決することは不可能に近く、精神的にも経済的にも追い詰められてしまいます。
こうなったら専門家に相談するしかないと思い調べてみると、「弁護士に相談」「司法書士が解決」など様々な情報があり、「結局のところ、誰に相談すればいいのか？」と悩んでしまう人も多いのではないでしょうか？
闇金問題は、弁護士、司法書士のどちらも対応することができます。ただし、司法書士の場合はいくつかの制限があります。
今回は、闇金からの借金について、弁護士と司法書士のどちらに相談すればよいのか、その違いについて解説していきます。
弁護士とは？
弁護士とは、司法試験に合格し、最高裁判所の司法研修所を卒業、弁護士会に登録された法律のプロです。裁判官、検察官と同様、法曹資格が与えられています。
法律に係るあらゆる業務を行うことができ、法廷での弁護活動から、身近に起きるトラブルについての法律相談まで、幅に広く活動しています。
司法書士とは？
司法書士は、法務省による司法書士試験に合格し、司法書士会に登録した者です。
主な業務は、登記や供託の代理、裁判所や検察庁、法務局へ提出する書類の作成提出です。
法務大臣から認定をうけた認定司法書士に限り、簡易裁判所における民事訴訟などにおいて当事者の代理が認められています。
これに伴い１件１４０万円以下の任意整理の手続きが可能となっています。（認定資格のない「司法書士」は代理権はなく任意整理の手続きもできません。）
弁護士も認定司法書士も借金問題の解決はできるが司法書士は制限がある
弁護士、そして認定司法書士の両者とも、借金問題の解決を手掛けることができます。
弁護士は法律に関するあらゆる業務を行うことができるため、借金問題についても制限なく手掛けることができます。
闇金問題についても問題がありません。弁護士会照会という特権も持ち、公官庁や企業などに事実の問い合わせをすることができるため、闇金の所在確認も可能です。
司法書士では、認定司法書士に限り借金問題を手掛けることができます。ただし、債務金額に制限があり、「１件の債権者からの債務額が１４０万円まで」となっています。
闇金に関しても、この縛りがあるため、借金額が大きい場合は弁護士に相談することとなります。
弁護士と司法書士の闇金対応の仕方
弁護士も司法書士も、闇金との交渉の仕方はあまり変わりません。
基本的には、「法律家が介入した事実」を知らせることで、これ以上の取立ては危ない、ここが引き際だとヤミ金業者に思わせることです。
まず、依頼者から闇金問題の依頼を受けると、闇金へ電話をし、取立てや嫌がらせを止めるように要求します。
多くの闇金は、弁護士や司法書士が介入すると、警察に逮捕されるリスクが高まることから、将来的なことを考えてこの時点で取立てを止める傾向にあります。しかし、中にはしつこく粘る闇金もあります。
ここで取立てや嫌がらせが止まらない場合は、実際に会いに行って交渉します。本当に依頼を受けていることを証明しプレッシャーをかけるのです。
それでも状況が変わらなければ、闇金が取引で使用している銀行口座、携帯電話番号を凍結して取引ができないようにします。
凍結のタイミングによっては、闇金は多額の損失を受ける可能性があります。
口座凍結と同時に警察にも連絡し、連携して闇金問題解決のために動いていきます。
警察は個人が闇金問題について被害届を出しても、なかなか動いてくれないという実態がありますが、弁護士や認定司法書士の中には、個人の人脈や経験からくるノウハウを駆使して警察を動かすことができる人も多いです。
【参考】警察に闇金の相談をすれば解決する？民事不介入で動かない？
また、弁護士や認定司法書士の中には、平和的解決をポリシーとしている場合もあります。
闇金は違法行為であり、ほとんどの場合、使用されている携帯電話や銀行口座は違法に取得したものです。
本来であれば、法に則りこれらを即凍結させる手続きをとるべきとも考えられますが、いきなりそのような手続きを取ることで、闇金の怒りをかう可能性があります。
その矛先がどこへ向かうかといえば、もちろん依頼者です。こうなると、今まで以上の取立てや嫌がらせが続く可能性が出てきます。
このようなリスクを避けるために、平和的解決として、「依頼者から手を引くなら、こちらも何もしない」という条件を提案するのです。
違法で携帯電話や銀行口座を取得するためにはコストがかかります。闇金としては、それを失うよりは手を引いた方が採算が合うと考え、ここであっさり退散することが多いようです。
弁護士や司法書士の役割として「依頼者を守る」ことを第一優先と考えた時、このような平和的解決は有効だといえます。
闇金対応の経験豊富な弁護士や司法書士を選ぶ
世の中には多くの弁護士や司法書士がいますが、闇金の対応に慣れていない、闇金問題は敬遠しがちという弁護士や司法書士も少なくありません。
それは、「闇金はまともに話し合える相手ではない」からです。
弁護士や司法書士は、闇金問題の依頼をうけると、まずは取立てを止めるように電話で連絡します。
弁護士や司法書士が介入したとわかると、腰を引いて話してくれる場合もありますが、中にはなかなかウンといわず、一時間以上怒鳴り声で話し続けたり、電話をしても居留守を使ったリ着信拒否をして話合いに応じないケースもあります。
さらに、闇金の扱いに慣れていなければ、交渉が失敗に終わり、それまでの時間と手間が無駄になってしまう可能性もあります。
このように、闇金を相手に交渉することは普通の借金問題と比べてもかなりの労力がかかるのです。
このようなことから、闇金問題を相談するときには、闇金に詳しく闇金対策の経験が豊富な弁護士や司法書士を選ぶ必要があります。
闇金対応のノウハウを心得ていなければ、交渉が失敗に終わるだけでなく、「弁護士や司法書士に相談した」ということを逆恨みされ、今まで以上の被害に遭う可能性もあります。それだけ闇金というものは厄介なものなのです。
闇金に対して毅然とした態度で臨むことができ、刑事事件に詳しく、口コミなどでも評価の高い弁護士や司法書士を選ぶようにしましょう。
なお、当サイトでは、ヤミ金問題を扱っている弁護士や司法書士を地域別にまとめたページも公開していますので参考にしてみてください。
自分との相性も大切
どんな相談でも言えることですが、相談相手と自分との相性がよいことは大切なことです。
話しやすく、自分の気持ちや要望などなんでも伝えることができなければ、満足できる解決には至りません。
依頼人の気持ちを尊重しながらも、プロとして最善の方法をリードしてくれるような弁護士や司法書士を選ぶとよいでしょう。
無料相談で実際に面談をし、自分と相性がよく信頼できる弁護士や司法書士を探しましょう。
気になる費用の差は？
闇金の相談をする時に、気になることがその費用でしょう。
全般的にみて、弁護士の方が多少高い傾向にあります。
取引しているヤミ金業者1件につき、だいたいの費用は次のようになっています。
- 弁護士：５万円
- 認定司法書士：４～５万円
また、弁護士の場合は、費用の分割払いはできますが、後払いには対応していない場合が多いです。
一方、認定司法書士は、分割払い、後払いとも可能が場合が多いです。
弁護士か認定司法書士か迷った場合は、このあたりのことも考慮に入れるとよいでしょう。
まとめ
闇金問題における弁護士と司法書士の違いについて解説してきました。
弁護士、そして認定司法書士は、どちらも闇金問題の解決を図ることができます。
ただし、認定司法書士の場合には、一件の闇金からの借入額が１４０万円以下という制限があります。弁護士には制限がありませんので、高額な借金の場合は、弁護士に相談しなければなりません。
費用に関しては、若干弁護士の方が高いというイメージがありますので、支払いが苦しい場合は、認定司法書士を選ぶという選択肢もあります。
しかし、闇金問題対策に関しては、弁護士か？認定司法書士か？という比較ではなく、その個人の持つ経験やノウハウ、闇金対策に対する意欲などが重要となってきます。
闇金相手でも腰が引けず、うまく交渉してくれる弁護士や認定司法書士を選びましょう。自分と相性が合うこともポイントです。
